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動物由来感染症
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    ◆食の安全の崩壊
    食のグローバル化は、安全神話をたやすく崩壊させました。交通網の発達していない昔は、商品はその鮮度の保てる範囲でしか、移動できませんでした。唯一穀類のみが海を越えることが出来る食品でした。生鮮食料品のほとんどは、隣町や遠くても隣の地域からと、目に見える範囲から運ばれてきました。
    イラスト1996年の大腸菌O-157の集団発生にはじまり、2001年の大手メーカーの牛乳製造過程の汚染、牛海綿状脳症(BSE)に関する不正、2002年には産地偽称など安全とされていた食品業界の不正が次々表面に出てきました。
    日本において食品は、疑いなく口に出来るものと信じられてきました。
    しかし、共通感染症と食中毒がからみあい、その上、企業の不正が働き、安全神話が崩れました。
    牛海綿状脳症(BSE)が大騒ぎになった2001年秋にNさんが真剣なまなざしで相談に訪れました。Nさんは5歳のペルシャ猫を飼育しています。『先生!ヨーロッパでは猫の海綿状脳症が出ているってテレビで出ていましたけど、家のルビーちゃんは大丈夫でしょうか?』 さて、困りました。牛海綿状脳症は(BSE)、生前診断は出来ません。症状が出てからわかるのです。ルビーちゃんの脳を取り出して検査しなければいけないので、その旨を伝えて少しでも安心してもらうために、今まで食べていたキャットフードが汚染国からのものか調べることにしました。さすが、Nさんは全てを猫の家計簿に記入していたのです。そこからが大変です。家計簿から会社をひろって、全てに調査依頼を出したのです。幸いほとんどの原材料がアメリカ産とオーストラリア産の肉を使用していたので、確立は限りなくゼロです。それを伝えると、安心していました。
    このように家畜を介しての共通感染症は、生きた家畜からうつる場合と畜産物になって食品として感染する場合とに分けられます。共通する点は、どちらも消費者の目に見えにくいところで起こるということです。
    ウシから感染するクリプトスポリジウムは、仔ウシにひどい下痢を起こさせ感染力の強さからまたたく間に拡がります。汚染された糞便は河川に流れ込み、上水施設を汚染させます。このクリプトスポリジウムは水道水の消毒をする際の塩素で死滅しないことから、水源が汚染されると水道水を飲んだヒトに集団で発生します。ほんのコップ一杯の水でも感染するのです。上水施設が汚染されると、清浄化に多大な費用がかかり、経済的な打撃を受けます。
    ブタが蚊によって感染する日本脳炎は、ブタの体内で増えたウイルスが再度、蚊を介してヒトに感染します。感染を断ち切るためには感染源のブタにワクチンを接種し、感染源を小さくすると共にヒトにもワクチンを接種し、万が一の事態を回避します。このため日本脳炎患者は激減しました。
    今まで日本には存在しないといわれたE型肝炎は、原因不明で死亡したヒトの劇症肝炎の患者から見つかりました。同時にブタからも見つかりましたが、ブタからヒトに感染したかどうかは不明で、現在調査中です。ブタでは、仔豚に感染しますが、成長するにつれてほとんどが治り、食肉に供する時期には問題ないといわれています。
    ニワトリのサルモネラ症は卵の食中毒として1980年頃から死亡者がでて問題になっていましたが、1999年頃よりワクチン接種する養鶏場が増えて感染者が減少してきました。しかし、ワクチン接種が卵のコストに跳ね返るため、全羽へのワクチン接種にはいたっていません。
    イラスト牛海綿状脳症(BSE)は2001年から全頭検査を行っています。18万頭も感染したウシが出たヨーロッパでは終息に向けてやっと兆しが見えてきました。
    このように、食に関する環境は手放しで安心できる状況にはいたっていません、消費者は、食の安全を確保するために監視の目を緩めないようにしなければいけません。 また、我々獣医師は動物の健康管理を行い消費者へ安全な畜産物の提供を行うようにしなければなりません。



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