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回虫症
【Toxocariasis】 |
| キーワード |
砂場、幼児、虫卵 |
| 病原体 |
イヌ回虫、ネコ回虫、アライグマ回虫、ヒト回虫 |
| 感染動物 |
イヌ回虫 : イヌ・キツネ・タヌキ
ネコ回虫 : ネコ
アライグマ回虫 : アライグマ
ヒト回虫 : ヒト |
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[動物の症状] 無症状、下痢、嘔吐
| [ヒトの症状] |
イヌ回虫 : ネコ回虫:発熱、視力低下、脳炎
ヒト回虫 :下痢、腹痛
アライグマ回虫 : 脳炎 |
[敵を知る]
ヒトへ回虫が感染する経路は、複雑です。
動物の糞便から排泄された虫卵が口を介して感染するパターンとイヌ回虫やネコ回虫に感染した家畜の生の臓器(肝臓や肉の刺身など)を食べて感染するパターンがあります。
イヌやネコの回虫卵が免疫力のあるヒトの体の中に入った場合、ほとんど問題ありません。しかし、免疫力の弱いヒトや幼児では、虫卵が腸の中で孵化し、肝臓・目・神経など全身の内臓に移動して、いろいろな症状が出てしまうことがあります。
それを幼虫移行症といいます。目に侵入した場合は最悪、盲目となりますし、神経に侵入した場合は、運動障害が起こります。
公園の砂場にはイヌ回虫やネコ回虫の卵があることが多く、よく知られているところです。あるデータによると東京の公園の砂場から最高で42%のネコ回虫の卵が見つかりました。これは、かなりの汚染率でマスコミは砂場が危険だと報道しました。そして、砂場の砂の消毒やネコが侵入しない砂場を作るようになりました。
その後の調査では、子供への砂場からの視力障害や神経障害のような重大な感染は、それほど問題ないことがわかりました。これは、子供の手洗いの励行や免疫力の強さから考えられていたほど、感染が起きないのでは無いかと考えられています。
問題となる感染は、もう一つの感染経路である回虫に感染した家畜の肝臓や肉の刺身などの生食であることがわかりました。
イヌ回虫やネコ回虫の卵がたまたまニワトリやブタ、ウシなどに食べられた場合に問題が発生します。
最近のブタやニワトリの近代畜産は、まるで工場のように窓のない畜舎で育成されています。餌も栄養的に管理され、食中毒の心配ない消毒された餌です。しかし、一方ではグルメブームにのり、地ドリやら、放し飼い農法など自然に近い方法で家畜を飼育した畜産物の人気が出ています。この自然農法で回虫の寄生が問題となります。イヌ回虫やネコ回虫の汚染された糞便が自然農法の環境内にあると、その虫卵がブタやニワトリに取り込まれます。砂場の感染率が高いことを考えると、自然農法の中にネコなどが容易に侵入することが出来るのはわかると思います。
イヌ回虫やネコ回虫の本来の寄生主でないブタやニワトリが感染を受けると、回虫は成虫まで発育できず、腸を食い破って、筋肉や内臓、特に肝臓へ移動します。そこで数年生き続けます。その感染した肉や肝臓をヒトが新鮮な生の刺身として食すると、感染するのです。砂場で虫卵から感染するパターンよりも、感染したニワトリやウシ、ブタの生の肝臓や肉の刺身を食べた方が問題になるという報告が出ました。しかし、免疫力が普通であれば、それほど問題となるものではありません。感染して治って終わりです。
もう一つ、問題になる感染源は、アライグマ回虫です。
ペットブームにのり、海外からアライグマの輸入が急増しました。愛くるしく洗う姿は、アニメの影響もあり、まさか怖い感染症を持っているとは誰も想像つきません。
アライグマ回虫症は、糞便の虫卵から経口的にヒトに感染します。感染しますとヒトに重い意識障害や運動障害を起こします。アメリカでは子供の死亡例も出ています。
アライグマの回虫は輸入の際の検疫対象ではありませんので、十分注意する必要があります。
[病原体データ]
イヌ回虫は長さ4〜18cm、ネコ回虫は長さ3〜12cmの細長く白っぽい虫です。イヌやネコでは一般的な寄生虫で、世界中に分布しています。日本ではヒト回虫はほとんどいません。
母犬にイヌ回虫がいると、へその緒を通ってお腹の中の仔犬にイヌ回虫の子虫が移ります(胎盤感染)。猫では胎盤感染は起こりません。出産後、仔犬や仔猫がお乳を飲んだり、回虫の卵が口から入っても感染します(経乳感染、経口感染)。回虫の子虫は仔犬や仔猫の体の中を移動しながら大きくなり成長し、仔犬の腸まで達したら、卵を産むようになりウンチの中に回虫の卵を排泄するようになります。
不思議なことに虫卵は、仔犬の時期のみに排泄されて、イヌが大人になるとイヌ回虫はイヌの腸に住むことが出来なくなり、いなくなります。
ネコ回虫は、イヌ回虫と違って大人のネコの腸に生涯住み続けることが出来るので“砂場”での虫卵感染の問題となるのです。
ヒト回虫は、ヒトの糞便から感染します。一時期減少しましたが、最近は輸入野菜や健康食品ブームの影響で、増加傾向にあります。
[症例]
もらわれて来たばかりのかわいい仔犬が急に吐いて、その中に輪ゴムのような白い虫が数匹動いていました。飼主さんは驚いて、動物病院に行き、検便をしました。検査の結果はイヌ回虫でした。ヒトにもうつる可能性があるので、虫下しのお薬をもらい飲ませたら、次の日のうんちには回虫が驚くほどどっさり出てきました。
[予防]
手を洗うことです。疑わしい食品は火を加えて食べたほうがいいです。冷凍しても卵が生き残ることがあります。
イヌやネコを飼っている場合、症状が出ていなくても動物病院で定期的に検便をして確認しましょう。回虫の卵はお湯で死ぬので、食器やトイレなどは熱湯消毒も効果があります。
一部のフィラリア症予防薬に回虫の駆除効果を期待できるものもあります。
[治療]
回虫駆除剤
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