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    キーワード 痒み、アレルギー、瓜実条虫
    病原体 ネコノミ、イヌノミ
    感染動物 イヌ、ネコ

    [動物の症状] 貧血、皮膚炎

    [ヒトの症状] ノミ刺咬症 : 皮膚炎
    瓜実条虫 : 無症状、消化器症状

    [感染経路] ノミ刺咬症 : ノミがヒトを刺すことによって
    瓜実条虫 : 瓜実条虫に感染したノミを、食べることによって

    [敵を知る]
    ノミは誰でも知っているイヌ、ネコの害虫ながら、その生態はあまりよく知られていません。それが結果的に、ノミの駆除を難しくしています。まず、ノミの生態をよく知ることが大切と思われます。
    ノミはかなり高等な昆虫であり、卵、幼虫、繭を伴ったサナギ、成虫と姿を変えて成長していきます。また、姿を変える段階で、各種殺虫剤に対する異なった抵抗性をもちます。
    たとえばシャンプーは、イヌやネコの体についた成虫のノミだけにしか効果がありません。また、室内を閉めきって行う、燻蒸タイプの殺虫剤は、ノミの成虫や幼虫は殺しますが、ノミの卵やサナギを殺す効果はありません。
    このように、ノミのおのおのの段階に効く殺虫剤を、賢くまた効果的に使うことが、ノミ駆除の近道であると思われます。
    それでは、普段ノミはどこで生活しているのでしょうか?イヌ・ネコの体についているのは、成虫だけです。卵、幼虫、サナギはどこにいるのでしょうか?答えは、イヌ・ネコの寝床や、お気に入りの場所のカーペットとかソファーのです。イヌやネコがじっとしているときに、体についたノミが卵を産むと、ぱらぱらと下の寝床とかカーペットの上に落ちるのです。ノミの卵の中から幼虫が出てくると、ほこりやノミの糞を食べながら成長し、数週間でサナギになり、じき成虫になります。卵やサナギは、各種殺虫剤や、外の環境に対して大変強く、冬も越します。ですので、イヌ・ネコの寝床とかお気に入りの場所は、しっかり掃除機をかけ、清潔にしておくことが大切です。
    また、ノミを直接ノミ取り櫛で取るとき、爪でつぶす人がよくいますが、この行為は絶対にやめるべきです。なぜかというと、捕まえたノミがメスであった場合、卵をばらまいてしまいます。それとともにノミの体内に瓜実条虫のシスティセルコイド(条虫の幼虫のようなもの)がいた場合手に付着し、何らかの機会に口の中にはいると、瓜実条虫にヒトが感染してしまう恐れがあるからです。ですから、捕まえたノミは、洗剤を入れた水の中につけて駆除しましょう。
    ヒトが主にノミに刺される場所は、主に膝から下のすねからふくらはぎです。これは、ノミの跳躍力が、約20cmだからです。
    またノミは、ヒトに対する吸血だけでなく、人畜共通感染症であるネコひっかき病の原因菌であるバルトネラ菌をネコからネコに伝える役割もしています。
    なお、ペストを媒介するノミ(ケオプスネズミノミ)は日本には存在しません。

    [病原体データ]
    ノミに吸血されると非常に強い痒みが残ります。これはノミが皮膚を刺した時に、吸血するために血が固まらないように、唾液を刺し口に散らすからです。この痒みは体の防衛反応の一つです。ノミ症は強いかゆみの一つとして昔から知られています、"掻痒感"という医学用語は非常に痒いことを指しますが、手偏"?"に"蚤(ノミ)"という字が使われていること見ると理解できるでしょう。
    ノミは蚊と違ってオス・メス共に吸血を行います(蚊はメスのみ吸血)。メスは1日数十個の卵を産み、死ぬまでに数百個の卵を産むといわれています。1日の採血量は、0.14mmlといわれ、1000匹感染していたら1日あたり0.14mlの血液を失うことになります。30日で4.2ml失い、体の弱い100g程度の仔猫が感染すると貧血で命を落とすこともあります。 卵は幼虫、サナギを経て、約1ヶ月で成虫になります。周りに動物がいないような条件や湿度が50%以下だとサナギのまま待機して、1年近く過ごすことが出来ます。サナギは湿度が50%以上ある環境下で動物の気配を感じると、すぐに脱皮して、成虫になります。 成虫のノミは14日から60日近く生き続けますが、低温で高湿度の環境では食べなくても1年近く生き続けることが出来ると報告もあります。
    「のみの夫婦」とよく言われるとおり、ノミはオスよりメスの方が大きいです。
    ネコにはネコノミが、イヌにはイヌノミ、ヒトにはヒトのみが吸血しますが、ネコノミはヒトにもイヌにも、通りがかりのどんな動物の血も吸います。動物を飼っていてヒトを刺すのは、ほとんどネコのみです、ある大学の調査ではイヌについているノミの75%もネコのみでした。
    ノミは昆虫ですので、気温が高い春から夏、秋が活動期間です。しかし、冬もしっかり暖房が効いた日本の住宅環境では、一年中棲息していても、不思議ではありません。

    [症例]
    獣医学生のS君は、アパートでネコを飼っており、そのネコにノミがわいて、S君も被害にあうほどものすごい状態になってしまいました。ちょうど夏休みに入ったところだったので、先輩の獣医さんに滴下型の成虫駆除剤をもらって、ネコに付いているノミは駆除し、アパートの室内は、ネコと一緒に実家に帰る時に、燻蒸型の殺虫剤をしかけて、「これでカンペキさっ!」と実家に帰りました。
    長い夏休みが終わって、アパートに帰り、一歩部屋の中に踏み入れたS君の脚に、何か黒い小さいものがたくさんつきました。「何?」S君はよく見て驚きました。駆除したはずのノミだったのです。
    「えっ!?コレってノミじゃん!?なんで?この殺虫剤効かないの!?」
    いいえ。効かなかったわけではないのです。燻蒸型の殺虫剤は、ノミの成虫と幼虫には効いても、卵とさなぎには効かなかったので、生き延びた卵とサナギが成長して、ノミの成虫となっていたのです。


    [予防]
    ノミ駆除を各種薬剤によって行う。

  • 滴下やスプレータイプの成虫駆除剤:動物病院で処方してもらいましょう。ただし同じ部屋の中にカブトムシなどの昆虫がいるときは死んでしまうことがありますのでカブトムシ等昆虫は、別の部屋に移しましょう。
  • 飲むタイプのお薬:ノミの卵の孵化を抑制する薬と成虫を駆除できる2種類があります。安全性が高く、ノミの爆発的な増殖を抑えます。
  • 首輪タイプ:医薬部外品と医薬品では、効き方がかなり違います。特に医薬品を使う場合、獣医師の指導のもと使用しましょう。

    その他、シャンプーや、ノミ取り粉、環境に撒くタイプの殺虫剤などいろいろありますので、使用説明書をよく読んで、使って下さい。
    動物の体表のノミの駆除と同時に、室内のこまめな清掃と室内の燻蒸タイプの殺虫剤を併用するとより効果的です。

    [治療]
    イヌ・ネコ : ノミ駆除剤の投与、シャンプー
    ヒト : 虫刺されの処置


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