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動物由来感染症とは、動物からうつる病気のことをいい、英語ではズーノーシス(zoonosis)といいます。これはギリシャ語のzoon(動物)とnosos(病気)という単語に由来します。動物園が英語でズー(Zoo)ということがわかると憶えやすいと思います。WHO(世界保健機構)では、このズーノーシス(zoonosis)をヒトと脊椎動物の間を自然に行き来することができる感染症と定義しています。脊椎動物とは背骨のある動物のことですから、イヌ、ネコを含めての哺乳類、そしてその他には鳥類、爬虫類、両生類、魚類などの共通感染症がズーノーシス(zoonosis)に含まれます。
背骨のない昆虫類やカニやエビなどの甲殻類、タコ、イカなどの軟体動物などの共通感染症はズーノーシス(zoonosis)に含まれません。
英語ではうまく表現できているズーノーシス(zoonosis)ですが、そのうまい日本語訳がありません、獣医学の教科書や農林水産省用語では"人獣共通感染症"とか"人畜共通感染症"と呼ばれています。報道などでよく耳にする"動物由来感染症"とは厚生労働省用語でヒトを中心に考えた呼び名で、動物からうつるヒトの病気という意味合いがあります。逆にヒトから動物にうつる感染症もあるので、それを表現する場合には、"ヒト由来動物感染症"と呼ばなくてはいけませんので、少々こんがりますね。
正しい表現にすると"ヒトと動物の共通感染症"が正しいということになります。
次ぎに感染症と伝染病の違いをご存知でしょうか?
ほとんど同じに使用されている場合が多いのですが、あえて分けてみると、感染症とは病原微生物が生体に侵入して増殖して起こす病気で伝染病より大きな意味で使われ、伝染病とは病原微生物の感染によって起き、人から人へと伝染して集団的に流行する疾患の総称と言うことになっています。
つまり、伝染病はヒトへの感染に使われることが多く、感染症は生物全体(植物含め)に使われることが多いです。しかし、一般的な受け止められ方としては、旧態的な呼び方が、伝染病でやや怖いイメージがあります、感染症は最近の呼び方で、伝染病より綺麗な?イメージとしてとらえられている場合が多いです。
感染症、特にヒトと動物の共通感染症の歴史はヒトが家畜を飼育した時から発生しました。その歴史は、イヌで最も古く2万年前、ウシで1万年前、ブタで8,000年前、ニワトリで5,000年前となっています。しかし、当時はヒトにうつる感染症という認識はなく、魔物やタタリで具合が悪くなると信じられてきました。ヒトと動物の共通感染症の認識をもって治療に取り組んだのは、ごく最近のことで1796年にイギリスの医師ジェンナーが最初に行いました。ジェンナー医師は"牛痘"の発生した牧場の乳搾り職人には、天然痘に罹るヒトが少ないことを感じていました。そこでジェンナー医師はその牛の病気である"牛痘"を用いて初めて"種痘"を行いました。これが"予防接種"の始まりです。天然痘は当時世界中で流行、死亡率が高い感染症で治癒しても、後遺症として、顔などに"痘"という瘢痕が残り、嫌われていました。ジェンナー医師の"種痘"によって多くの人々の命が救われることになりました。その業績が、後に世界的に拡がり1980年には「天然痘根絶宣言」が出されました。わずか200年足らずで死亡率の高いウイルスが根絶できたのは、奇跡としかいいようがありません。
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